春の見聞読まつり ~前編~
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◎シャンブル/ユニコーン
ご存知ユニコーンによるなんと16年ぶりの新譜。こういう復活モノはファンには複雑で、新作を喜ぶ気持ちとは裏腹に、耳に染み付いた往年のサウンドが評価の邪魔をすることもしばしば。最初の2曲は民生がヴォーカルなのでまるで彼の新作を聞いているような錯覚に陥るも、3曲目のWAO!(シングルカット曲)以降は阿部くんやEBIくんのヴォーカル曲も続き、ああユニコーンだなあと実感。ただしファーストコンタンクトは全体的にモヤッとした印象で、かつての「服部」のようなインパクトはありませんでした。そう、こういうのを求めちゃうから復活モノは困るんだよ(笑。
ただ、数回繰り返すうちにコレは間違いなく”ユニコーンの新作”だと確信。このバンドは16年経っても、誰が何のパートというのではなく5人が各自の好きな能力を駆使して、各自バラバラのようで完成品は確実にユニコーン印という作品を出してきました。発売から1ヶ月経ったいまの感想としては、間違いなく彼らの新作だけど歴代最高傑作にはなってないかな?(笑。私的には「ヒゲとボイン」と「SPRINGMAN」が同点で1位。俺たちは、俺たちだー!
でも今回はユニコーンとして完全復活したことがとにかく大事。大御所バンドによくある期間限定復活では無さそうなので、次回作を普通に期待できる喜びをかみしめつつ、もう少し聴き込むとします。ちなみに今回は、メイキング映像とWAO!のPVが収録されたDVD付き初回限定版を購入。昔からのファンはDVDを見たほう感情移入できるし、PVのバカバカしさも健在なのでオススメ。あと、最近はこんな規格もあって、今後はこっちのシリーズを買おうかな?
◎文藝別冊 吉田戦車
「伝染るんです」で不条理ギャグというジャンルを紡ぎ出し、以来第一線で活躍し続ける吉田戦車でまるごと1冊まとめた本。研究本といった体裁ではなく、本人へのロングインタビューやWEB日記の加筆再録、作品&キャラクター解説といったものが半分と、あとは親交のある大勢の漫画家から各1~2ページずつの寄稿という内容。寄稿者のひとりでもあるおおひなたごう氏のブログで知って購入。このシリーズは以前に江口寿史も買いましたが、最初からリスペクト目的なのでファンにはたまらない内容です。最後のほうの既刊本紹介を見たら、9割くらいウチの本棚にあることがわかって大満足。吉田戦車氏はマンガもさることながら文章もかなり好きなので、日記が入っているのはとてもイイです。これはオススメ。
◎水曜どうでしょう写真集2 改訂版
とうとう手に入りました。レギュラー放送時代のうち1998~2002年の5年分、どうでしょう班4人が主に旅先で撮った写真がドッサリ入ってます。監修の嬉野ディレクターが、使いたい紙が絶版だったのでわざわざ作らせたり、プリントスキャナを使わずすべてネガから取り込んだりと、こだわりの製本を貫いた力作。お値段も¥4,179となかなかのヘビー級でした(笑。初版発売の2003年にはその存在を知らず、2007年の再販の時にはすっかりどうバカになっていたので買うつもりが、鳥取砂丘の件でまさかの再販中止、主にそのあたりが改訂されてめでたく再販されました。
しかし正直な話、テレビ番組の写真集ってどうよ?とずっと思っていました。番組中に藤村Dが「ハイお写真を~」とか言ってコンパクトカメラで撮った写真が映し出されますが、お世辞にもうまくない代物で、あれが大量に集まっててもなあ、でもベトナムのエンディングとか見ると結構かっこいい写真もあるし、でも値段高いし~と、買うべきか悩んだことも事実です(笑。で実際に手にとって見ると、これがすごくイイわけ、ねえ奥さん(嬉野節)。どうバカならば相当な満足度が得られるナイスな写真が満載、巻末には各写真に対する嬉野Dのコメントがびっしりと詰まってます。上に挙げた2つのこだわりは見事に吉と出ており、写真としても見事な仕上がりと言えましょう。ちなみに各自の使用カメラ(コメントから推察)は、RolleiFlex(嬉)、GR-1(藤)、35mm1眼レフ+モノクロフィルム(鈴)、写ルンです・PENTAX 67(大)。ぼんやりと眺めていると、こちらも旅したくなってしまいます。欲を言えば、コメントは巻末でなくて各写真の下などに付いていれば良かったかなあとも思いますが、そこは先生のこだわりということで。写真集なのに読み応えあります。どうバカのひとは是非!